「日本最高!移住したいね。でも絶対働きたくない」スウェーデン人の働き方から見る、日本の労働環境の歪み

スウェーデンにたどり着いた僕は、共通の友人を通じてある人物を紹介してもらった。

彼の名前はジョン。25歳でITコンサルタントとして首都ストックホルムに勤務。18歳から2年間東京に留学していたので日本語はペラペラだし、日本文化にも詳しい。

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「日本はどうだった?恋しい?」という質問に対して

「日本人は優しいし、街も綺麗でご飯も美味しい。冬も暗くないし、物価も安い。日本に移住したいね。留学してた時は人生で1番幸せだった。一緒に留学してたスウェーデンの友達もみんなそう言う」

「でも、絶対日本で働きたくないね」

過労死という言葉が「karōshi」として英語や他言語の辞書に掲載されるほど、日本人のその”異常な”働き方が世界中でも認知されてるように、スウェーデン人のジョンも日本の労働環境に対して「絶対働きたくない」と強く言い切った。

実はスウェーデンは、世界でもトップレベルの「労働生産性の高い国」と言われてる。

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(当然職種にもよるが)フレックスタイムが当たり前で、労働時間は基本はフルタイムで「8時-17時」、夏の間は1時間退社時間が早まるという

 

日本とスウェーデン、対極を行くような異なる働き方をする2つの国の違いは一体何か?国民性なのか、教育や制度なのか。

留学時代、東京の飲食店で「ブラック」も経験したスウェーデン人ジョンから話を聞いてみようと思う。

スウェーデンの高校を卒業後、日本へ2年留学。ブラック企業でのバイトも経験

子供のころからニンテンドーのゲームが好きで、16歳から日本語を勉強開始。日本人留学生と付き合ってたこともあり、高校卒業後、東京の日本語学校へ留学。

当初は1年の留学の予定だったが、親を説得し半年、そしてまた半年と延長し、約2年滞在したようだ。

特に遊んでいたという渋谷

 

「日本での留学経験は最高に楽しかったね。居酒屋がとにかく恋しいよ。女の子も本当に可愛いし、クラブもよく行ったよ」

冒頭でも書いたように「日本に留学してた時が人生で1番幸せだった」と語る彼だが、その裏で日本の厳しい労働環境も経験している。

「お台場の飲食店で週6日働いてたけど、本当に厳しかったよ(笑)。残業もよくあって、しかも残業代がでなかったんだ。学生ビザだったから残業代を記録に残すと面倒なことになるからね。店長が隠したんだ」

スウェーデンでは残業中の給料は2倍アップ、週末や朝は2.4倍に

 

スウェーデンにももちろん残業は存在する。しかし、明らかに異なるのは「残業代」の額。なんと残業中の時給は1.8〜2倍にアップする。

特に週末や朝は時給が2.4倍にまで上がるとのこと。しかし、ストレスが溜まるから基本的に残業はしないそうだ。

サービス残業がはびこる我々日本人の感覚からすると、この「残業中の給料アップ」は驚きだ。それでも「ストレス溜まるから」と残業しないのもスェーデン人らしい。

5週間の有休消化は「絶対」  幸福度の高いスウェーデンの有給休暇

さらにスウェーデンの有給制度についても見てみよう。

スウェーデンでは必ず1年につき、5週間の有給消化が法律上で厳しく定められている。

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そしてなんと、有給中の給料は10%アップするのだという。

「理由は分からないけど、おそらく休みの間お金いっぱい使うからじゃない」

すこい理由である。そりゃバケーションで旅行に行くなら、お金はたくさん必要だろう。もし有給を使いきれなかったとしても、代わりにお金が貰える。

日本では有給消化率が全体の3分の1と言われている。しかもわずか2年で消滅時効だ。

日本はタテ社会・年功序列といった構造がすごい

「日本はストラクチャー(構造)がすごい」

もちろん、悪い意味でジョンはそう語る。当然、タテ社会や年功序列を意味する。

 

「店長からの飲みの誘いは断れなかった。バイトが0時に終わったら居酒屋の”笑笑”行って、朝までカラオケ。ラウンドワンでよくスポッチャしたよ。次の日の学校は寝てたよね」

希望や期待を抱いて遠いスウェーデンから来たのに、日本特有の働き方や風習を無理強いさせるのは、なんだか聞いてるこっちが申し訳なくなる。

 

-スウェーデンはどうなの?

“フィーカ”っていう社員全員でコーヒーを飲むブレイクタイムがあるんだ。それと“アフターワーク(パーティー)”が人気。同僚達と仕事が終わったら飲みにいったり食事するんだ。あくまで”仕事として”だから、コントロールする必要があるのでゆっくり飲むよ」

フィーカは生活習慣としてもスウェーデン人にとって主流であり、重要な役割を果たしている。

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スウェーデン人の国民性がフラットな人間関係を成立させる?

「スウェーデン人はシャイで、あまり本心を話さない。とにかく距離を置きたがる。”また会おうね”とか”FB交換しよう”とか言わないんだ」

そう語るジョン。このようなフラットな人間関係が、仕事上の面倒くさい構造関係に直結しないのかもしれない。

「スウェーデンではスウェーデン人の友達を作るのが難しい」

どうやら、スウェーデンの国民性は良い面だけではないようだ。

行政主導の職業訓練がスウェーデンの生産性の高さを生み出す理由?

一体何がスウェーデン人の「生産性の高い働き方」を生み出すのか。

北欧諸国はどこも人口が少なく、よって1人当たりの作業効率化と生産性向上を余儀なくされる。

スウェーデンの学生は中学2年で2週間、中学3で3週間、高校では合計で約4ヶ月の職業訓練を受ける(ジョンの学生時代の話なので今とは期間が異なる可能性あり)

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また、会社をクビになった場合も行政主導の職業訓練を必ず受けなければならない。

つまり、生産性が低ければ会社をクビにされ、生産性を改善するために職業訓練させられる(職業訓練を受けなければ生活保護ももらえない)。

「結果より過程を重視する」日本とは異なり、スウェーデンでは残酷なほど結果に貪欲だ。逆に言えば、結果さえ出せば個人の好きな生産性の高い働き方が可能だ。

 

-「スウェーデンには”ワーク・フロム・ボードがある”って聞いたんだけどほんと?」

「ほんとだよ。夏の間はお客さんがほとんど休みだから、休みのように働く。ビールやテキーラ飲みながら働いてる人もいるよ」

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高校時代で起業を経験したジョン

中学卒業時に最初に人生の選択を迫られたジョン。彼はITを学べる高校を進学。

先ほどの職業訓練の話とリンクするが、なんとこの高校では、生徒がリアルのプロジェクトを作る必修授業があったそうだ。

「めっちゃくちゃ厳しかったね。時間も少ない中でちゃんとビジネスとしてカタチあるもの作らないといけないからね。先生も色々サポートしてくれて、あのときの経験はすごく良かった」

 

そしてジョンは高校時代でそのまま起業を経験する

「その時のビジネスコンテストの審査員が出資してくれて、同級生と職業マッチングプラットフォームを作ろうとしたんだけど、俺が日本に留学することなったからなくなっちゃったんだ(笑)。俺のせいだけど、その友達はほとんど何もししてなかったから、まあ時間の問題だったね」

今、日本に必要なのはこの「雇用される以外でお金を稼ぐ力」だと本気で感じる。

関連記事日本人に圧倒的に足りない「雇用される以外」でお金を稼ぐ力

スウェーデンは働く人に対して優しく、企業には厳しい

「スウェーデンは働く人にはとても優しいんだ。逆に企業に対しては厳しい。労働者は弱い立場だから、彼らを守る法律がある

これが人口が少ない国だからこその考え方の違いだろか。日本では労働者が弱い立場にいる。労働基準法が企業に対してほとんど機能していない。

 

「だから、就職して誰かの会社で働くってことは”その社長の夢を応援する”ってことだよね。日本だと”仕事(給料)与えてあげてます、感謝してね”という感じだけど、むしろ逆!こっちが感謝されたいし、給料少ないわ!むしろ(労働者があなたの会社で働いてあげることを)喜べ!自分の人生の方が大切」

幸福度の高いスウェーデン人にとって何がモチベーションになるのか?

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  • 効率化された労働環境、休暇の多さ
  • それによってもたらされる家族との時間の多さ
  • 充実した教育制度・高福祉社会

幸福度が高いと言われるスウェーデンだが、そんなスウェーデン人にとってのモチベーションの根源は一体何か?

「スウェーデンでの仕事は本当に良いよ。他のヨーロッパの国はもっと厳しいだろうね、北欧は全体的に楽だと思うよ。でも俺にとったら北欧はつまらないんだ。冬は暗いし、寒いし、人もつまらない。」

「だから本当に日本に移住したいね。絶対働きたくないけど(笑)。もし移住するなら友達と日本で起業するね」

 

そして僕が面白いと思ったのがここだ▼

今の8時間ワークですら長いと感じるんだよね。だからロボット使ってシステム化もしてるし、デイトレも始めた。若い間は頑張るけど、将来は働きたくない。

このハッキリ「将来は働きたくない」と言い切りあたり。そのために若い今、スキルや仕組みを作る。圧倒的に効率化を進める。

生産性の高い働き方を実現するスウェーデンから、今の日本を生きる大きなヒントを得た。

スウェーデン人ジョンから日本人へメッセージ

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「そんなに仕事して人生失う必要ないよ。俺にとっては時間が一番大切。それと他の国の言語学ぶのは良いこと。日本人好かれてるからどこいっても人気になれるよ」

「あと、旅は人として成長するのに旅しないのもったいない。日本での留学ですごく自分に自信がついて、こっちに帰ってきてから別人と言われたんだ」

 

-それ分かる〜〜〜!俺もニューヨークですごく自信ついて、変わったって言われた。

「日本は交通費高いしね。もっと外に出るといいと思うよ」

 

ジョンとはこの取材で初めて会ったのだが、わずか数時間で考えや価値観があって意気投合。異国の地スウェーデンで本当に良い友達ができた。

 

次回はジョンから聞いた、「スウェーデンの教育」や「いまスウェーデンが抱えてる問題」についても書いていこうと思う。

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ベルリン在住フリーランス高田ゲンキ氏に聞く、「海外で働く」と「日本との教育の違い」に期待すること

 

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