東京藝術大学大学院合格しました-受験した感想や試験対策など【先端芸術表現】

タイトルの通りです。東京藝大の修士合格しました!

まさか30歳になって、しかも、美術を学ぶために大学院を受験するとは。人生何があるか本当に分かりません。

ちなみに卒業した大学は関西大学の商学部、キャリアはブロガーからスタートというガチアウトサイダー。そんな自分を受け入れてくれる藝大の懐の深さ…!

僕が受験した先端芸術表現は毎年の倍率が4〜5倍ほど。1次試験がポートフォリオと小論文、2次が面接なんですが、正直一発で受かると思ってませんでした。

というのも、昨年の夏くらいから美術に対する考えと作風が変化して、あまり納得できるクオリティの作品が作れていなかったこと。つまり、ポートフォリオに入れる作品が圧倒的に足りてないという。

無事受かりましたが、10年ぶりの受験はそれはもう楽しくも、辛かったです。特に2月は生きた心地マジでしなかった。

何より、「東京藝大」の「大学院」の「先端芸術表現」に行った人の生の情報がむっちゃ少ないんですね。検索して見つけた(どちらもお会いしたことないですが)半田さんと新宅さんのブログが頼りでした。

東京藝大・先端芸術表現の修士受験記

藝大受験の残骸

というわけで、自分も誰かの何か役に立ったらいいなという気持ちで、大学院の準備から合格までを備忘録的に綴っていこうと思います。

大学院に行こうと思った経緯

大学、もしくは大学院に行きたい(学び直しをしたい)という気持ちは2年ほど前からうっすらありました。

美術、宗教、哲学に興味があって、日本の大学なのか海外の大学なのか、そもそも本当に大学に行く必要あるのかなど、周りの人に相談したりして「一旦は行かない」という結論に落ち着きました。

で、2020年に地元金沢にUターンしてひとりで制作してたのですが徐々に物足りなさを感じてきて、2021年6月からアートトという現代アートを学べる学校に通いはじめました。

そこで学ぶことやプロのアーティストから受けるフィードバックは刺激的で、11月くらいに「現代美術もっと学びたいな〜」「てか来年のキャリアどうしよかな〜」と考えてた時に「藝大の大学院って行けるのか…?」と気になって調べ始めたところから気づいたらノリで願書提出してました。

いつもの(そしてこれからもやるであろう)「出してから考えるスタイル」です。締め切りギリギリに願書出して受験料振り込みました。

東京藝術大学大学院 先端芸術表現科を専攻した理由

京都芸大が気になっていた時期もありましたが、経済的に国立の東京藝大一本で考えました。学科に先端を選んだ理由はけっこうあって

  1. 横断的に様々なジャンルのメディアを扱えること
  2. 現役で活動してる教授や外部講師から現代美術を学べること。特に日比野克彦さん、小沢剛さん、山城千佳子さんは以前からとても気になってた
  3. 作るだけなく、キュレーションや批評、ディスカッションなど「考える」機会も多く与えられていること
  4. 他大学からの出身者も含め、特定の領域に偏らない人間を受け入れていて面白そうな人多そう

油絵や彫刻など、決まった技法から入るのではなく、コンセプトや空間に合わせて技法と素材を選定していくスタイルが今の自分に合ってるのと

僕自身、ブログ、YouTube、ブレイキン、詩、美術と、ジャンルとメディアを横断して活動してきたので、この学科がドンズバそうでした。

アートトの授業で日比野さんと小沢さんを知り(遅い)、制作スタイルが自分の理想に近いと感じたのと、東京都写真美術館での山城さんの展示をみて衝撃受けたのもあって、そんな人たちが教えてる先端に興味を持ちました。

入試説明会の小沢さんとか面白すぎて声出して笑ってしまいました。キャンパスでヤギ飼って乳絞ってアイスクリーム売ろうとしてるとか最高やなと。ちなみに先端は入学後に、所属する研究室が決まります。

12月から1月はとにかく作品&ポートフォリオ制作

1次試験にはポートフォリオ提出が含まれていて、1月中に「A4 60枚」を作らなければいけません。これまでA4 20枚のポートフォリオしか作って来なかったので絶望感。

前述したように、作風の変化に伴い作品が全然なかったので、12月はとにかく溜まってたアイデアを具現化しまくってました。

あと、自分が美術をはじめた経緯を知って欲しくて、美術家になる前のプロジェクトもガンガン入れました。二次の面接でもそこを拾っていただけて良かったです。

事前の面談が重要???

これ全然知らなかったんですが、大学院受験は、自分が志望する研究室の教授にアポ取って質問したりポートフォリオを見てもらう「事前面談」がかなり重要らしいです…。大体、願書提出前に受け付けてるそうな。

学部からそのまま上がってくる人は教授との繋がりが既にあるので当たり前にやってるそうですが、自分はこれを見逃してました。これ完全に終わったなと。ただでさえ外部から受験してるのに…!

でも結果的に受かったので、事前面談はしなくても大丈夫と言えば大丈夫です …!が、できることならやっておいた方が良いと思います。

大学院でやりたい研究内容と希望する研究室に齟齬がないか確認するのは大事だし、事前にポートフォリオのフィードバックもらえるの良いなぁと(遠い目)

自分の場合本当に偶然なんですが、友人が紹介してくれた方が(先端ではないけど)藝大の大学院に、しかも僕と同じく他大学から入った方で、受験前に話を聞けたのが大きかったです。大学院生活がイメージできて、モチベーション上がりました。

あと2月はじめにあった藝大の卒展も行って、先端の人がどんな作品を制作しているかチェックしました。

2月上旬 一次試験(小論文)

ポートフォリオ提出後に小論文試験を受けます。

まず取手キャンパスに行くまでで心折れそうでした。取手駅前からバスも使うので、集合時間には余裕持って行きましょう。このとき初めてキャンパス来ましたが、遠いです。噂通りヤギいるし。

室内入った瞬間、スマホの電源落とさないといけないので、時間潰せる本や資料など持っていった方がいいです。試験開始前と、終わった後もけっこう待ちます。

「スマートウォッチ禁止」「教室に時計がない」との情報があったので、前日に100均で時計買って持ち込みましたが、自分の教室には時計ありました。他に持ってたのはシャーペンと消しゴムと目薬。頭働かせるためにチョコとかもいいかも。

過去問参照したくらいしか対策しなかったのですが、本番の2時間はそれを後悔するくらい時間が足りませんでした。途中トイレ行く余裕もなかったです。あと久しぶりの手書きで、手が思うように動かない笑

本番テンパらないように、小論文の書き方を確認しとくとか、そういう準備はした方がいいと思います。

ワケ分からんこと書いたわ〜と終わった後BAD入ってましたが、なんとかパスしてました。1次の合格発表見るときもめっちゃドキドキした〜。

時間が足りなくても諦めず、字数に届くように「とにかく書き切ること」が大切だと思います(当たり前)

2月中旬 2次試験(面接)

1次が対策なしで行ってテンパった反省を活かし、2次の面接までの5日間はみっちり対策することにしました。具体的にしたことは

  • 提出した志望調書の確認
  • 1分〜1分半で自己紹介できるよう練習
  • 先端はどのような学部なのか改めてリサーチ
  • 先端の在学生や卒業生の作品とインタビューを読み漁る
  • 先端の教授の作品や研究内容をリサーチ
  • 先端を志望する理由の書き出し/喋る練習
  • 第一/第二希望として提出した研究室を志望する理由の書き出し/喋る練習
  • ポートフォリオに入れた全ての作品のコンセプトを簡潔に説明できるよう練習
  • 飛んでくるであろう質問とその回答をシュミレーション
  • 散髪、革靴磨き、服の準備、神社でお参り

意識したのは「落ちても後悔ないように全部やっておこう」でした。

地味に迷ったのが服装。ググったら「大学院の面接は基本的にスーツ」と出てくるのですか、藝大だし逆にスーツだと浮きそうと思って、襟付きのシャツで全身黒の綺麗めな感じで行きました。結局、自分のグループ(10人くらい)でスーツの人は1人もいませんでした。

10時にキャンパス集合して、受験番号が後ろの方だったので1時間半待ちました。待機場所けっこう寒いので気をつけてください。スマホ以外で暇を潰せるものとして一応本を持っていきましたが、印刷した志望調書や自分のポートフォリオ読み返しながらひたすらイメトレしてました。とにかく待ってる間の緊張疲れがヤバいです。

面接は教授4〜5人に対して自分1人という形式で約10分、それを2回行いました。2回ともまず入室したら受験番号と名前を名乗り、先端を志望した理由を1分で話したあと、質問が飛んでくる、という形でした。

1回目の面接がけっこう重い雰囲気で、緊張もあって全然上手く話せませんでした。自分に興味持ってくれてるような、無関心のような…。あまり手応えを感じず終了。すぐさま2回目の面接へ。

2回目は若干緊張がほぐれていたのと、いきなり飛んできた質問が斜め上すぎて笑ってしまい、割と穏やかな雰囲気でした。

他に聞かれた質問は

  • ブログやSNSで何を目的に発信活動をしていたのか
  • 3年前に美術をはじめたとあるが、はじめた理由は何か
  • これまで色々と挑戦してるみたいだが、このタイミングで藝大入って学びたい理由は何か
  • KDDI総合研究所のFUTURE GATEWAYとは何か
  • 現在は個人事業主として生計を立てているということか
  • アーティストのキュレーションや紹介に興味はあるか
  • (ポートフォリオにある作品を指して)コンセプトを説明してください×2
  • 藝大に来てこれからどんな作品をつくっていくか
  • 影響を受けたアーティストや目指してるアーティストはいるか
  • ○○というアーティストを知っているか→知人だった笑

手応えあまりなかったので、合格発表の直前まで生きてる心地しなかったですが、無事合格してました!よっかたよかった。

藝大の大学院を志望している人へ

冒頭でも少し触れた通り、自分は27歳から突然美術はじめたアウトサイダーなので、ポートフォリオ作ってる時から「アカデミックの人は自分を受け入れてくれるのだろうか」「イロモノとして見られてるのではないか」という不安の中でやってきました。

それが合格して、本当に嬉しいです。考え抜けば、誰にでもチャンスはあるはずです。

ということで、大学院入試の情報が少なくて不安だらけだったので、誰かの参考になれば幸いです!

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基本的に表現に関することはnoteでクローズドで公開してるので、気になる方や、るってぃを応援してやってもいいという方はそちらをどうぞ。

ではでは!