2023年振り返り 自分の表現はどこまで通用するのか

めっちゃダッシュで1年を振り返ります!

昨年の振り返り記事の最後に「もしもうまく行けば来年秋からはフランスに行くかもしれません。」と綴ってましたが、今このブログをフランスで書いています。今年はそれかなやっぱり。

昨年、東京藝術大学大学院に入ったと思ったら、もうその環境と制度を利用して別の国にいる。がむしゃらで、目の前のことで精一杯ですが、でもそれくらいのスピード感の方がちょうどいいのかも。

正月、俺は真冬の海でひたすら砂を投げていた

《Throwing Sand》Still Photo

どんな新年のスタートだよ…笑

大学院の映像の講義の課題で作品を作っていました。地元金沢の海からロシアの方面に向かって砂を投げ続けるというパフォーマンス。

ここで先生からもらったフィードバックはいま制作の上で意識するようになったし、それとは別でパフォーマンス中に得た仮説は、後々面白いことに繋がるのではと予感しています。

そんな感じで1年に及んだ映像の講義は終了!後述しますが、作ってきた作品は留学先のパリの大学でも展示してフィードバックもらってます。

有楽町ソノアイダでの滞在制作と展示

昨年、「A-TOM ART AWARD 2022」でソノアイダ賞を受賞した副賞として、新有楽町ソノアイダでの1ヶ月間の滞在制作がスタート。

あまり好きではないオフィス街と真冬のビル風、そして慣れない環境に苦戦していた記憶が…笑

ここで「ホットサンドメーカーズクラブ」をやるイメージが沸かず、レジデンスなのでその場所性を活かした作品作りにチャレンジしたいと思い、時間ないくせに前半2週間は有楽町界隈の歴史(主に占領期について)のリサーチに注力してました。そこで気になる史実を見つけ、三つの作品を作りました。

ON LIMITS / Shinyurakucho#Sonoaida(Tokyo, Japan), 2023
《Eating Tour For Freedom#1》Performance, single channel video, installation

滞在制作やリサーチの進め方、協力者を巻き込んだ制作など非常に勉強になりました。1ヶ月半で多くの先輩アーティストや関係者とも繋がれて良い経験となってます。

大学院修士2年 金沢をメインの拠点に

ソノアイダでの展示が終わった後は金沢に戻りました。そう言えばここから東京拠点ではなく、金沢をベースに生活をはじめます。

修士2年から必修で東京に通わなければいけない講義などなく、修了制作に向けて各自で研究に勤しむ感じです。思えば昨年の8月くらいからバタバタだったので、ようやくまとまった時間ができました。

引き続きリサーチ進めたり、ポートフォリオまとめたり、コンペや助成金にアプライしたり。

名古屋でもホットサンドパーティーやったね

金沢でゆっくりしていた期間に生まれた新作のアイデアを、翌月東京で試すことになります!あとこの時の俺に強く言いたいけど、なんでお前このタイミングで語学勉強せんかったんや!!後々お前を苦しめるぞ!!!

東京滞在〜新作の撮影など

5月に修了論文の主査・副査決めの面談のために1週間東京に滞在するはずが、結果としてそのまま5週間住むことに…!滞在場所を用意してくれた株式会社リバ邸のれんと、サポートしてくれた今井さんありがとう!!

そして、新作の映像作品の撮影に取り掛かります。東京23区内に唯一存在する米軍基地「赤坂プレスセンター」でのパフォーマンス。

《Eating Tour For Freedom #2》Still Photo

藝大の先端芸術表現科の修士2年には「WIP展」という、修了制作の途中経過を見せる展示があるのですが、ここで撮影していた映像作品を展示しました。

EXHIBITION WORK IN PROGRESS 2023 / Tokyo University of the Arts (Ibaraki, Japan), 2023

講師としての仕事やったりビザの準備やらなんやら

6月から、ソノアイダでの滞在制作でもお世話になった株式会社A-TOMが主催する「OUT SCHOOL」という1ヶ月で現代アートを学ぶ講座の、富山側の講師をやることに。僕が金沢に住んでいたことでお声がけいただきました。

東京・富山の二拠点同時開催
こっちは東京側。1月に滞在制作したソノアイダで開催!

これまで美術を学んできて今回初めて教える側に立ちましたが、こちらが学ぶことだらけでした。友達もめっちゃ増えた!こんな機会いただけて改めて感謝です。

漂流のゆらめき / merika(Toyama, Japan), 2023

並行して大使館行ってビザ申請したり、仕事の話で夏は全国飛び回ってた記憶あります。

そんなこんなでバタつきながらフランスに渡りました。

留学するまでの過程についてはこちらにまとめてます。

東京藝大からパリ国立美術学校(エコール・デ・ボザール)に交換留学するまでの過程

フランス留学スタート~ボコボコにされてます~

パリに着いた日から留学先の大学のオリエンテーションがあり、正直この3ヶ月間は結構やられてました。泣

とにかく目まぐるしかった。着いていくのに必死!自分をプレゼンするのに必死!インフレ円安で目の前の生活にも必死!!

クロード・クロスキーというフランスのメディアアーティストのスタジオに所属。代表1人がキュレーターになって展覧会コンセプトを作り、それに合わせて新作か過去作を展示→プレゼン→議論、というのを毎週やるんですが

いや普通にヤバいw こんなプラクティス藝大ではなかったので、でも実は求めていたことでもあり、後々実りになることを信じて毎週大体落ちてんでます。泣

とりあえずこの1〜2年で作った作品を全部見せてる勢いです

スタジオ展覧会はすでに7回くらいやったのかなぁ。英語でプレゼンは少しずつ慣れてきたし、自分の作品に自信を持ててきてるけど、全然まだまだ、本当の意味でディスカッションする土台に立ててないと思う。やっぱり語学だよ。あと前提の西洋のコードの理解とか。

加えて前期は写真とビデオとサウンドのクラスを取ってみました。あと必修でフランス後の授業か。大学は良い人ばかりで、すごく助けられてます。

あと嬉しい誤算として、パリってモダンアートのイメージが強かったんですけど、コンテンポラリーアートも全然強くてたくさんイベントやってます。

写真オンリーの国際的なフェアParis Photo 面白かったな〜
ルイ・ヴィトン財団で開催されているマーク・ロスコ展

たった3ヶ月でこっちで活動するアート関係の友人もめっちゃ増えてるし、表現活動して生きている人が世界中から集まってるんだなと実感。

ただ一回めっちゃしんどくなって弾丸でロンドン行ったら最高過ぎてめっちゃ回復したwww

Marina Abramovićの展示を観に行った

収まりきらないくらい色々あって、noteの方に現在進行形で起こってること書いてます!

CAF賞2023で日本に一時帰国

そして最後12月!

現代芸術振興財団が主催するコンペ「CAF賞2023」のファイナリストに選出され、展示と最終プレゼンに向けて日本に一時帰国。

Contemporary Art Foundation Award 2023, / Daikanyama Hillside Forum (Tokyo, Japan), 2023

展示した作品は昨年から継続している「ホットサンドメーカーズクラブ -I’M FROM HUMAN -」で、この1年やってきたワークショップの映像と共に展示しました。

《HOT SANDWICH MAKERS CLUB – I’M FROM HUMAN –》2 channel video, installation

今年の目標のひとつであった「コンペでグランプリ獲る」を実現できず、めっっっちゃ悔しかったですが、 やっぱりそう簡単にはいかねぇかと。美術全然甘くねぇわと。

これはパリでもっと修行して来いという意味と捉え、今週帰ってきてこの振り返りブログを書いてます。

というわけで2024年は

シンプルにフランスでかまします。

CAF賞も終わり、100%フランス留学に向き合います。

自分の表現がどこまで通用するのか。日本人としてここでできること、やるべき仕事は何か。足りないものだらけなのでとにかく学び尽くす。

こっちで新作も作るし、発表していきます。ネットワークを広げベースを作っていきます。コンペやアーティストインレジデンスなどにも繋げるしユーロも稼ぎたい。一応、大学院の修了制作も控えてるので着手していきます。

相変わらず周りのサポートのおかげで自分のやりたいこと100%で生きれてます。活動を支えてくれるコレクターさん、ずっとお世話になってるリツアンSTC、スポンサーになってくれたしゅうへい、そして友人各位、今年も本当にありがとうございました。

ちなみにここで振り返ってることはほぼ全てnoteの月額マガジンにより詳細に綴ってます。購読いただければ全文読めますのでぜひぜひ。今年大学院で発表した研究内容とか講評のフィードバックなど公開してます。

では良いお年を!

Photo by takumi YANO