書評「感性は感動しない」感動した現代アートって本当にあったかな?

美術評論家で多摩美の研究所所員、椹木野衣さんの「感性は感動しない」という本を読みました。

冒頭読んで思ったのが「最近本当の本当に感動した作品ってあったかな?」ということ。ギャラリーや展示会回ってたくさんの作品を見たり、時には買ったり、そうした活動をアーカイブするためのSNSアカウントを作った時期もありました。

でもそうやって観るものはコレクターさんの情報を経由したものだったり、また買う時も色んな感情入ってしまってないか?とか。

現代アートは特に視覚ではなく、作家のバックグラウンドや思想を楽しむものなので、説明聞いて感動してないか?作品が飾りで、解説がメインになってしまってないか?とか。

村上隆さんが現代アートにおいて大切なのは「構図・圧力・コンテクスト・個性」と言いましたが、そうしたレイヤー構造ばかりに気をとられた作品が多すやしないかと。

むしろ、レイヤーはバッチリで文脈的に評価されて高い価格が付いているのに、全く感性に響かない作品となると余計にむなしくないかと。

そう振り返れば、自分の人生においてマジのマジに感性揺さぶられた作品ってそうそうないです。

いまだに解説なしの現代アート巡りなんてほとんどが「ふーん」で終わり。凡人には美術におけるロジカルさは必須で、さらにそれを突破する爆発力、そこが本物との境目なのかなぁと思ったりしました。

中学生のころ、美術の教科書で目に入った「ゲルニカ」を、背景知らずとも食い入るように見たあの感覚を、常に欲しながら展示回ってる自分がいます。