書評「アーティストになる基礎知識」村上隆が社会人としての常識を大切にする理由

以前も書きましたが、アーティストとして成功するのは実は“普通の人”だと思ってます。

「アーティスト=変人奇人」というイメージは、80年代にバラエティやCMに出はじめた岡本太郎が原因なのではないか?草間弥生らの表層しか見てないのではないか?

シンプルに当たり前のことを当たり前にやる。アーティストとその辺のビジネスマンは何ら変わらないと感じてます。

最近見つけて読んだ本の中で、村上隆さん率いるカイカイキキギャラリーの若手育成のために何をやってるか載ってたのですが勉強になりました。

日頃から世界で活躍することを意識したトレーニングを積んでおり、取り入れられることは取り入れるべきと思ったので共有します。少し古い本ですが、詳しく知りたい方は本をご一読をば。

毎日2回報告メールを送る

カイカイキキでは所属アーティストに対して朝にその日の予定を、夜は23時までに1日に行った作業工程をメールで報告するよう義務付けられてるそうです。

敬語の使い方を学びながら、自分の言葉を見つけるトレーニングにもなり、プレゼンテーションの意識を高めるのだとか。また、第三者にメールすることで自分の制作を客観視できると。アーティストにも社会性を持たせる訳ですね。

1日1枚「完成した作品」としてドローイングを描きあげ筋力アップ

毎日描くことで構図のバリエーションが増え、決められた工数(スピード感)で作品を描くことの意識づけになる。

これは最近自分もやっていて、時間をかけて仕上げる作品とは別で、必ず1日ひとつ完成まで持ってくシリーズを別で用意してます。

あと勉強になったのが、完成したら必ず日本語と英語でキャプションをつけることで、世界のシーンの意識づけになると。これはSNSとかにアップするとき取り入れたい。

スケジュール&コスト管理の徹底

ここは自分全く出来てなかったので反省…びっくりしました。

スケジュール表を作り、作品ごとの進行状況を可視化してました。領収書もエクセル、アシスタントの勤務時間も管理。

そうすることで、今年は作品が何点必要で、何枚売れれば経費をペイできるか分かると。「コスト管理を徹底し、死ぬまで造り続けるための金銭感覚を養う」という言葉が良かったです。

他にも色々載ってるんですけど、特にどのアーティストも言ってたのがこれでしたね。どんぶり勘定じゃいつか破綻するわこれ…。

アーティストとしての基礎はもちろん、社会人としての基礎を大事にし、常識力を身につけることが世界に近づけるのだと

表現やってると奇をてらって近道できるんじゃないかというような気がどこかするけど、全くそんなことないと改めて実感した本です。