映画評「美術館を手玉にとった男」芸術と図面工作の違いとは?

美術館を手玉にとった男」というドキュメンタリー映画を観たんですが、これが中々考えさせられます。

冒頭から「この世にオリジナルなどない」というセリフではじまりますからね。

2011年、アメリカの46館もの美術館で展示されていた大量の絵画が贋作であることが発覚。

マーク・ランディスというパッケージに登場している男が精巧な贋作を100点以上制作し、法外な金額で売ることができるにも関わらず、それらを無償で美術館に寄贈していました。(そのため贋作と判明した後も逮捕はされなかった)

彼は長年にわたりピカソからディズニーまで、幅広い絵画を模倣し続けたのです。

それが途中で、ある男によってバレます(続きは本編で!!!)

本物と偽物の違いとは何か?

彼が贋作を作り寄贈し続けた理由は、父を亡くしたことから10代で統合失調病を発症したこと。

アートセラピーの一貫として絵画を描き続けるのみでしたが、母を喜ばせるため、美術館に素性を偽って寄贈したら感謝されたことがキッカケで、そのような行為を繰り返しはじめたと。

人は誰しも「誰かの役に立ちたい」「存在を肯定されたい」と思ってしまうものですが、彼は他の贋作者のように「権威を失墜させること」「金儲けすること」には興味を持ちませんでした。純粋な気持ちでやっていたわけです。

さらには、贋作を美術館に寄贈する際、神父など様々なキャラクターに扮するわけですが、彼は映画の中から紛争するキャラのセリフや雰囲気を盗みます(映画を流しながら作業してる)

彼のやってることは芸術なのか、果たして精巧に模倣するだけの図面工作なのか。

行為自体は許されることではないかもしれませんが、彼の生き方や心意気は誰よりもアーティストだと感じてしまうのです。

今のマーク・ランディスの活動が気になってググってみたら、なんとオリジナルの肖像画を描いてアーティストとして活動していました。

映画の原題は「ART & CRAFT」 オススメです!