昨日、横浜美術館で開催中の「トライアローグ」展に行ってきました。
美術表現が一気に多様・加速化したキュビズムから80年代のポップアートまでを横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館に所蔵されてる作品を通して振り返る展示企画です。
めちゃくちゃ行ってよかったです。感じたことをまとめていきます。
完成した作品と同じ位、制作過程も大事
「創造的なものは、まさに途中の生成であり、それこそもっとも大切で、生成は存在にまさる」
パウル・クレー
クレーは「過程」を創作の核に置き、油彩転写というオリジナルの技法を用いて「物質→精神→象徴」というような、物質をもとに芸術家の精神を介して象徴化することを試みました。
自分にいま足りないと思うことのひとつは、制作技法にもっとこだわり抜くこと。
そのためにもっと技法の幅を知ることも必要ですが、自分が表現したいことのために、完成形の絵ばかりでなくそれを生成する過程や技法に焦点を当てなければと感じました。
ちょっと忘れてしまったのですが外国のストリートアーティスト(フォーチュラの弟子みたいな人)が「制作においてまず一番最初にやるのが画材を組み合わせてオリジナルの新しい画材を作る」と雑誌のインタビューで答えていたのを思い出しました。
他にも、
メレット・オッペンハイム
無関係の大量生産品を組み合わせることで本来の用途を無効化し、見るものに夢想を与える試み。
フェルナン・レジェ
第一次世界大戦中に兵器の機能美に魅せられ、生活の中のオブジェをモチーフに。
日常から選びとったオブジェを単純化し、抽象化された空間に配置することでその造形的強さやエネルギーを表現。
「現代に生きる人に芸術を開かせること」を目的に、神話などではなくオブジェをモチーフにしました。
ヴィフレッド・ラム
中国系の血を引く父と、アフリカとスペインの血を引く母のもとで育ったため、古今東西の美術や文化を融合させました。
ルーチョ・ファンタ
キャンバスをナイフで切り裂くことで空間主義を表現、平面的な絵画の概念を拡張しました。
ルイーズ・ニーヴェルソン
家具の断片を構成して黒一色に塗装することで、木製品がかつて有していた機能や記憶を断片化・再構築し、祭壇のように壮重な構造体を生み出します。
作家を紹介してきましたが、全ての作家が、技法と表現が綿密に連動した上で成り立ってるということが分かります。
美しいなぁと思うアーティストは、性格と生活と制作行為とその結果出来上がる作品が、矛盾なく一貫している人
これはアーティストに限った話ではなく
— Rui Yamaguchi/プロ無職るってぃ (@rutty07z) October 4, 2021
性格と生活と制作行為と出来上がりの作品を連動させるには
アーティストとして重要なのは
- 今までどのような人生を送ってきたか
- 自分は何が好きで何が嫌いか(何に対してどんな感情を持っているか)
- 表現を通じて何を伝え、何を変えたいのか
- それを表現するためにどんな技法を使うか
を一生通して試行錯誤していかなければいけないと感じます。
全て移ろいゆくものですが、自分はまだまだ4の技法が甘いので、色々試しながら表現の幅を広げようと思います。