「ITでコミュニケーションが希薄になるというのは間違い」 世界一周ダンサーが語るITを使った旅の醍醐味。

こんにちは、学生ライターのけいぼー(@keibou_com)です。今回は

  • ダンスを通じて、世界一周に出る
  • Skypeを使って、日本と海外の子供をダンスでつなぐ
  • クラウドファンディングで資金調達をして、アフリカと日本の子供をつなぐ

ダンサーの中込孝規さんへのインタビューの様子をお届けします。

「最初は世界一周どころか、海外に出たこともあまりなかった。」


——最初に、ダンスを通じて世界一周に出たきっかけを教えていただけますか?

中込さん:元々、自分の中に、人生の可能性を最大限に試したいというのがあって。そう思った時に、全然世界を知らない自分が、世界を変えるようなことはできないなと感じたんですよね。それで、世界を回ってみてみたいなと思ったことがきっかけでした。

——なるほど、世界を変えるようなことをするためには、まず世界を知らないといけませんからね。現在は様々な国を訪問されていますが、学生時代もよく海外に行ったりとかはしていたんですか。

中込さん:いや、学生のころはほとんど海外に行ったことはなかったです

卒業旅行くらいでしか海外には行ったことはなかったし、その時ですら、友達が航空券から何から全部とってくれて、それについていくという形でしか海外経験はありませんでした。

——海外経験は少ないほうだったんですか…。それなのに、会社員をやめて世界一周に出たというのは、ものすごい挑戦ですね。

中込さん:社会人4年目の頭に、いろいろなことが重なって「やりたいことやらなきゃだめだ」というのを強く感じてきたんです。それで、昔からの夢であった世界一周に出ようと、決意を固め、丸4年働いたあとに会社を退職しました。

「世界一周に出ることで、自分の活動できるフィールドが格段に広がった。」


——世界一周に出て、大きく変わったことはありますか?

中込さん:一番大きく変わったのは、自分のフィールドが日本から世界に変わったというところです。もともとは東京とかの狭いところでしか活動していなかったのが、世界一周を通じてアメリカやアフリカなど、地球規模で自分の活動を考えられるようになったのは、ものすごく大きな変化でした。

——なるほど、日本でだけ活動していたら、自分の活動範囲が広がることはありませんし、それは貴重な経験ですよね。

中込さん:あとは、気持ちの面で、世界中にいろんな人がいて本当に仲良くなれるんだなと思えるようになったのが、大きく変わったところです。

もともとは本やテレビの中でしか見たことがなくて、海外の人たちを違う人たちだと思っていたんですが、一緒にごはんを食べたり、ダンスをしたりというのを通じて、いろんな人とも本当に仲良くなれたんですよ。世界中の人たちでも本当に仲良くなれるんだなというのを、世界一周という実体験を通じて、強く感じました。


——世界一周に加え、アフリカでダンスを教えるなど、世界を股にかけている中込さんにとって、「旅」の醍醐味とはなんですか。

中込さん:「人」との出会いですね。世界一周に行っていろんな「人」と出会って、全然予想していなかったようなたのしいことに巡り会えて。旅を通じて出会う「人」とのできごとって、予想できないから、ものすごく面白いんです。そういった意味で、旅の醍醐味は「人」との出会いだと思います。

世界一周ダンサー・中込孝規さんが語る、旅中のIT活用法


旅をしていたとき、たくさんのITを駆使していたという中込さん。そんな中込さんに、旅中のIT活用法についてお聞きしました。

「Skypeを通じて話していても、人と人とのコミュニケーションであることは忘れちゃいけない」


——Skypeを積極的に活用しているとおっしゃっていましたが、具体的にどのような使い方をなさっているのでしょうか。

中込さん:アフリカなど、海外と日本の子供どうしをSkypeでつないだりしています。例えば、こないだ福岡に行った際は、福岡とザンビアの子どもをSkypeでつなぎました。2つの地域をつなぐときに、ただダンスでつながるのではなく、お互いの国の挨拶をおぼえたり、自分たちの自己紹介動画を送りあったり、工夫をしていました

——なるほど。でも、お互いの国の子どもをつなげるというのは、言語などの面で大変そうな気もしますが…。

中込さん:いや、大変だったことは、特になかったです。ただ、1つだけ気を付けていることはありました。
それは、人と人とのコミュニケーションなんだというのを、子どもたちにしっかり伝わるようにすることです。

たしかに、Skypeで2つの地域の子供をつなぐこと自体は、ボタン1つで簡単にできます。だけど、お互いに観客ではないし、見せものでもないので、自然とお互いをリスペクトしてもらえるような環境を作るように心がけています。

——お互いの国の子供たちが、観客ではなくて、1人の人間としてコミュニケーションをとることを大事にされていたんですね。

中込さん:たとえば、このあいだ福岡とザンビアをつなげたときは、福岡の子供たちの出席を、ニャンジャ語でとったりしていました。

——交流する地域の言葉で出席をとるというのは、面白い試みですね。

中込さん:そうですね。ニャンジャ語で出席をとったことで、実際にザンビアの子供たちと交流する際に、「いよいよ、ニャンジャ語を向こうの人たちに言えるぞ!」と、自然と相手に興味をもつようになるんですよ。

他のところでも、そういった試みをして、人と人のコミュニケーションなんだということが伝わるような工夫をしています。

「クラウドファンディングも、人と出会い、仲間になるためのツール」


——中込さんは、アフリカにダンスを教えに行く際、クラウドファンディングをしていましたが、なぜそうしようと思ったんですか。

中込さん:クラウドファンディングをしたのは、資金を集めるという目的ももちろんありましたが、仲間をつくりたかったというのが理由です。

ぼくがアフリカに行くことで、支援した人たちが一緒にアフリカに行ったような気持ちになってもらえたらいいな、と思ってクラウドファンディングを行いました。
また、一緒にプロジェクトを行っているような気持ちになっていただけたらいいなというのもありました。

——クラウドファンディングを通して仲間を作るというのは、面白い発想ですね。でも、クラウドファンディングを使うと批判も多そうですが…。

中込さん:最初はめちゃくちゃ怖かったですねぼくメンタル弱いので(笑)。でも、結果として145人という多くの方に支援していただき、金額としても目標金額を大きく上回る1,522,000円の支援金が集まりました。
やる前に、目標金額を下げたほうがいいという声があったんですけど、それでも自分は目標金額を変えたくなくて、100万円という目標にしました。

——自分の信念を貫いたことで、それがいい方向にいったんですね。クラウドファンディングを通して、実際によかったなというエピソードなどはありますか?

中込さん:クラウドファンディングをしたことで、全然知らない人が支援してくれて、そこからつながりが生まれたということがありました。象徴的なできごとがあって、福岡でスカッシュコートを経営している人が、たまたまCampfireのページをみて支援してくれました。

そのあと、帰国の報告会を東京と大阪でやったんですけど、「福岡にも来てください」と言っていただいて、そこでぼくの挑戦に背中を押されたと言ってもらえたんです。

その人とは今でもつながりがあって、この間も共催でトークイベントをしたんですよ。クラウドファンディングをしなかったら出会えなかった人と出会えたので、それはやってよかったなと思います。

「SNSを通して人と出会い、それを通じてまた違う人とつながれる」


——中込さんのブログに、Facebookについて書かれていた記事を見つけたのですが、Facebookの具体的な活用方法などを教えていただけますか。

中込さん:今の価値観として、「口に出したら夢は実現する」というのがあって。周りの人がいるなかで、自分の夢をひたすら口に出すと実現する。そのために、世界一周しているときも、SNSを積極的に活用していました。

あとは、Facebookを通じて、世界中にダンス仲間ができたというのもありました。ベトナムに行ったときに、ダンサーと出会ったんですけど、その時にFacebookのアカウントを交換し合ったんです。

そしたら、タイの知らないダンサーの人から、「ベトナムで君がおどってた人、ぼくのともだちだから!」みたいなメッセージがきて、「タイで一緒におどろうよ!」ってお呼びがかかったんですよ(笑)

Facebookがきっかけで、違う国の人と一緒におどることができたりと、濃いつながりを作ることができましたね。

ITでコミュニケーションが希薄になるというのは真っ赤なウソ。


——ITを活用して旅に出ていると、「コミュニケーションが希薄になる」という批判も多そうですが、その辺はどうお考えでしょうか。

中込さん:でも、ぼくはITを使っていても、コミュニケーションが希薄になるとは思わないですね。Skypeで子供たちをつないでダンスをしていると、自分にとっても子供にとっても、その場が感動的になることが多くあります。互いの言語を少ししか知らないとしても、お互いの気持ちを見て取れるというか。

ITでコミュニケーションが希薄になると思っている人には、ぜひ1回ぼくの活動を見てほしいです。

「スポンサーは、想いに共感してもらえるところに。」

中込さんはアフリカをダンスして回っていた際、「旅をしながら、お金を稼ぐ」ということは意識していなかったそう。

そこで肝になってくるのが、お金を稼ぐのではなく、思いに共感してもらい、支援してもらうこと。

中込さんが、アフリカをダンスを通じて旅するにあたって、どのようにしてスポンサーについていただいたのか、という点について詳しくお話をお聞きしました。

——アフリカにダンスを教えに行くときにスポンサーがついたとお聞きしたのですが、具体的にどういう形でスポンサーを獲得していったか、教えていただけますでしょうか。

中込さん:自分のやりたいことをSNS・ブログを通して、自分の思いをのせて発信していました。そうしたら、自分のやりたいことや思いに共感や応援をしてもらえて、また「思うようにやってきていいよ」と言っていただけるスポンサーさんに出会えました。

旅が義務感にならないようなスポンサーさんについていただけたので、本当にありがたかったです。

さきほども言ったんですが、「口に出したら、夢は実現する」というのは、この出来事からも痛感しましたね。

——自分からスポンサーに声をかけるというより、発信していく中で応援していただけるスポンサーさんに出会えたと。

中込さん:そうですね。自分のやりたいことを応援していただけたので、そこは本当によかったです。また、自分の活動を通じて、スポンサーさん含めて、みんなが幸せになれたらいいなと思っていました。その点から見ても、発信することを通じて、本当にいいスポンサーさんにめぐりあえたなと思います。


——最後に、「ダンス×旅」のこれからの展望について、聞かせていただけますか。

中込さん:今年はアクセルを踏みまくって活動していく予定なので、去年とはステージが大きく変わるかなという感じがしています。

去年はダンススクールを開講するなど、時間をたっぷり使って、0→1をじっくり作っていくという感じの年でした。ですが今年は、自分の作ったダンススクールなどを通じて、世界中の子供たちが言葉の壁をこえて友達になれるような活動をしていければいいなと思っています。

中込さんへのインタビューを終えて

今回、中込さんにインタビューをしていて、全ての活動に思いが一貫しているという印象を受けました。

それは、「出会う『人』が幸せになること。」

ITも旅もダンスも、あくまで「人」と出会って、その人たちと一緒に楽しく過ごすための手段である。

どの活動にしても、中込さんのその思いが一貫しているという印象を強く受けました。

今年アクセルをかけて活動していくそうなので、これからの活躍がとてもたのしみです。
中込さん、今回は貴重なお話をありがとうございました!

中込さんのブログ:http://gome-takanori.com/
中込さんのTwitter:@nakagome63
Photo by 中村創(@soooo_nakamura

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