映画評「すばらしき世界」普通になろうとする社会は本当に素晴らしいのか?

気になっていた映画「すばらしき世界」を観ました。今年観た映画の中で暫定トップです。

役所広司さんの演技がすさまじい…途中映画ということを忘れるくらいに、劇中の本人になりきってました。

先週観た「花束みたいな恋をした」がサブカル好きの男女が社会に揉まれ「普通になってしまう」様子を描いたものに対して、こちらは13年の刑期を終えた元ヤクザが、なんとか社会に介入して「普通になろうとする」様子をリアルに伝えています(実話だそうです)

真っ直ぐで「瞬間湯沸かし器」と揶揄されるほど怒りっぽく、すぐ手が出てしまう主人公ですが、その人柄に周りの人が惹かれサポートしていく…その中で「社会で生きていくためにはやり過ごすことも必要」と説得される。

確かに争い(特に暴力)を起こすと、誰も止めませんが、気づいたら席や居場所がなくなってるのが僕らが生きてる世界です。それが本当に「すばらしき世界」なのでしょうか。

お涙を誘うようなシーンではないところで、ふと涙を流してしまうような。そういう表現方法が素晴らしかったです。観た後、家までの帰り道ずっと考えさせられるような映画に久しぶりに出会った気がします。

最近邦画が調子良いですね。