【なぜ人は美術品を買う?】アート作品をコレクションする理由を考えてみた

アーティストのマネジメントなどの仕事をしてる友人からこんな質問が飛んできた。

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僕も作家としての活動だけでなく、アートそのものや市場の理解を深めるためにコレクターとして作品収集もしてます。最近はコレクターさんとの交流の機会も増えてきました。

活動してるうちにアート業界の構造や問題点(並びに日本というアート後進国の問題点)が見えてきて、そういう意味で友人はヒアリングしてるのだと思います。

この機会に「なぜ自分はアート作品を買うのか」を率直に言語化しみたら、実に色々ありました。結論、買う理由なんてなんでもいいと思うけど「アート作品買うの面白そう!」と思ってもらえれば嬉しいです。

1.所有欲を満たすため

なんでもお金で買える大富豪たちが、お金の力だけでは買えないアートコレクションの方向に行くのはごく自然なことだと思っていて。

あらゆる欲や様々な方法でエロスを満たしてきた富豪たちは「虚無感を埋めるためにアート作品を買ってる」と村上隆さんが著書の中で語っていたのが印象的。でも本当にそうだと思う。

(金持ちでは全然ないけど)プロ無職としてある程度の自由を謳歌した自分も虚無感抱いてて、そこからアートに行ったの、この理由に近い気がします。

2.アーティストの応援・支援のため

綺麗事っぽく聞こえるけど、作品を買ってくれる人がいてアーティストという職業は成り立ちます。自分も活動はじめて、アートだけで飯食うことがいかに難しいか日々実感します…。

グッズを買ってくれたり、SNSでシェアしてくれるのもめっちゃ嬉しいんですけど、作品を買うことがアーティストへの最も純粋な応援になります。

それと、SNSフォローしてるだけじゃその作家の考えてることは本当の意味で知ることができなくて、安くないお金を払って作品を身近な場所に置くことで、嫌でもその作家の情報が入ってくるでしょう。

「アートコレクターは素晴らしい作家・作品を後世に残す文化保護的な役割を担っている」と言うとカッコつけてるみたいだけど本当にそうなんだよなー。

アメリカとかでは大富豪が最終的にコレクションを美術館に寄贈するんですよね。もちろん節税的な側面もありますが、それが成功者の文化的役割だと。

3.見栄・虚栄心を満たすため

こちらも綺麗事抜きパターン。

作品買ってSNSにシェアすることで「教養ある俺かっこいいだろ〜」「(作家が有名になった後)才能に目をつけてた俺すごいだろ〜」という見栄、無意識レベルでも全然あります。人間だもの、それもいいと思う。

4.直接アーティストやギャラリストと話して(作品の解説を聞いて)

正直自分的にそんなだな〜と思ってた作品が、作家やギャラリストから直接話を聞いて良い作品に見えてくる、というのはよくあります。

また、作家の人柄に惹かれて作品を買ったこともありました。作家の性格と作品が矛盾してないな、みたいな。(もちろんその逆パターンで買うのを辞めた作品もある)

だからアーティストはそのバランスの見極めが求められます。自分の作品を自分の言葉でしっかり説明する力と、説明しすぎず余白を残す力。コレクター側はその辺りも含めて作品観賞すると楽しいと思います。

5.衝動買い

以前、友人と街をブラブラしてた時に見つけた画廊に入ったら、とても素敵な作品があって、見惚れていたらギャラリストが「アートは衝動よ」と言ってきました。

少し悩んだけど、友人を待たせるの悪いと思い結局購入しませんでした。その後ひとりでお酒飲んでいた時に「なんであの時買わなかったんだろー」と込み上げてくるものがあって笑

アートに限らずですが、本当に素敵な人やモノとの出会いは一期一会。衝動的な購入も時には必要だし、そうさせてくれるほどヤバい作品を求めて毎回ギャラリーを運んでる節もあります。

6.投機目的

正直にこの気持ちはある。てかそういう視点があるから楽しい!

もちろん最初から投機目的で買うことはないんですが(アートに投機的価値を求めるのはコスパ悪すぎると思う。それなら株とかやった方がいい)、作家が有名になって、買った作品の資産価値が上がればいいな〜とかそれくらい。

それと、人気作家の抽選販売も積極的に申し込んでます。正直外れても全然良くて、宝くじ買うみたいに当選発表までの日がちょっと楽しくなるからオススメ!当たったら超ハッピー。

7.人と繋がるため

作家とのコミュニケーションのためにコレクションしてるというコレクターも多いと思います。

実際、コレクションを通じて作家と仲良くなってご飯に行ったり、普通は立ち入れない作家のアトリエに訪問したり、コミッションを依頼したり、コレクターと作家が一緒になってプロジェクトを仕掛ける例もあります。

もし、憧れのアーティストや将来一緒に仕事したいと思う人がいるなら、その作家の作品を買うのもアリです。そうすることで不思議とご縁が回ってくるし(実体験アリ)、買うのと買わないとじゃ全然違ってきます。

8.情報収集のため(勉強のため)

個人的にこれが大きいです。

自分はアカデミックな教育を受けずに独学で作家活動をスタートしてるので、アートマーケットの右も左も分からない自分がなるだけその構造を理解するには、制作と並行して身銭切って市場を理解することが大切だと考えました。

ギャラリーやオンラインで気になった作品を購入しながら、作家やギャラリストから色々勉強させてもらってます。

例えば、自宅に届いた時の梱包や作品証明書、ギャラリーとのメールのやり取りなど、知らないことだらけで作家としてとても勉強になります。

ざっくりこんな感じだでしょうか。

誰かの何かの参考になったら幸いです!

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