今回の旅がどうしようもないくらい楽しい理由【漫画から学ぶこと】

今年に入ってめちゃくちゃ影響を受けてる漫画があります。

ひとつが「そのおこだわり、俺にくれよ!」です。

作者が異常な「こだわり」を持つ人たちに取材して紹介していく漫画で(上の画像はポテトサラダの男)、元バーグハンバーグバーグの代表シモダさんにこの漫画を頂いた時は「まあ読んでみるか」位のノリだったのが見事にドハマり。

個人的にはこの「帰る男」が好きで、「自宅と会社の往復」というサラリーマンなら誰しもが経験する嫌な毎日でさえも、楽しい帰路に変えてしまう「おこだわり(奇行?)」が紹介されています。

ハンチョウもめちゃおもろいいwwww

そしてもうひとつハマってる漫画が、あの「カイジ」の敵役が主人公のスピンオフ作品「ハンチョウ」です。

多重債務者として堕とされた地下で働いてるにも関わらず、1日外出券を駆使していろんな街を練り歩き、堪能するハンチョウの姿が紹介されています。ちなみにこの漫画のせいで格安ビジネスホテルに泊まるのも、朝食バイキングすらも楽しくなってしまいました。

普段ホテルの朝食食べないのに漫画の影響でつけてみた…が、すぐにお腹いっぱいになってあまり楽しめなかった。ハンチョウにはまだまだ遠い…!

些細な日常を最大限楽しむ力

この2つの漫画に共通して学べるのが「些細な日常を最大限楽しもうとする力」です。

「おこだわり」に出てくる人たちはみな普通のサラリーマンやオジサンが多いし、ハンチョウにいたっては借金持ちです。しかし、お金はなくてもそれぞれが何気ない日常生活の中に小さな好きなこと(もの)を見つけ、育み、異常なこだわりを持つに到るまで探求しています。

コンソメパンチの男

これらの漫画のせいで1人飲みや食べ歩きが楽しくてしょうがなくなってしまいました。今まで1人でご飯食べるときはスマホをいじりながらせわしくなく食べていたのが、ゆっくり頭の中で会話をするように味わって食べれるようになったり。

旅においてもそうで、今月から定住地を捨てて放浪してるのですが、行く先々で美味しいお店さんや面白いものを見つけようという気持ちになってます。以前まではスルーしてたようなことにも興味を持ち、「知らない」で済ませず地元の人に話しかけてみたりして、より旅を楽しめるようになりました。

本当の幸福のために、100点満点を目指さない

いまこれらに加え、「孤独のグルメ」などの一見地味な漫画が流行ってる理由はなんなのでしょうか。

ひとつはバブル崩壊以降、日本の経済が不安定なことがあるでしょう。ストレートに言えば経済の貧困化。お金がないから「普段の日々をお金をかけなくてもどれだけ楽しめれるか」という思考に行き着いてるという。

そしてもうひとつは、「承認欲求を満たすだけのSNS社会へのカウンター」だと感じます。

SNS上だとコンテンツに対する評価の数がいちいち可視化されてしまいます。その影響で「映え」を意識した写真を投下したり、バズるような記事を書いたりと、自分を演じていいねを稼ぐ人が増えてしまいました。

しかも、こうした承認欲求を満たすための行動は一度ハマるとインフレを止めることは難しく、100いいねで満足していたものがそれでも足りなくなっていく。つまり上限がなく、ずっとこれを繰り返していきます。

「整形するとさらに完璧を目指して依存症になってしまう」という話はよく聞きますが、SNSに関しても同じ。つまり承認欲求を満たすためだけに生活していると、いつしか負の連鎖に陥り、「憧れの私」を演じている自分を苦しめます。これに気づけないといつまで経っても幸せにはなれないです。みんなが羨むような有名人やセレブが自殺してしまうニュースは絶えません。鬱になったインフルエンサーの友人も知ってます。

SNSで「好きなことを生きていく」を実現しようとすると衝突するジレンマ

「おこだわり」の最終話でも語られてますが、100点満点の中で100点を目指そうとするのは、とても辛いことです。

だけど、自分の満足度がMAX6点であれば、低くても悲しいことはない上に、6点満点は目指しやすい。紹介した漫画に出てくる人たちはみな、何気ない日常をどう最大限楽しむか、時にクリエイティブな工夫をこらしながら1人で楽しんでいます。

ないモノを数えようとするのはフシアワセの始まり。今あるモノを大切に数え直し 楽しみ 愛で 悶える

ベルリン在住のお坊さんである星覚さんも著書で、「寺での生活は退屈そうとよく言われるが、とんでもない。極楽ですよ」と書いてたのが印象に残っています。

そんな星覚さんも山を降り俗世に戻ると、最初のうちは好きなものを食べれて可愛い女性もたくさん見れて楽しいらしいが、やがていろんな感情が押し寄せて疲れ果て、寺に戻りたくなるそうです。

日常に落ちている奇跡に気づくために

僕が幸せを感じられることは、お金をかけなくてもできます。毎日の食事や自然の移ろいを見るだけでも十分ですし、美術館に行けばたった1000円で世界の名画に触れられ、図書館に行けば無料で古典に出会えます。

現代はあまりにも、「お金持ち・贅沢=幸福」「フォロワー数多い=幸福」という図式が大きく飾られすぎです。

繰り返しになりますが、全くそんなことはなく、何気ない日常、そして僕らの周りには奇跡がたくさん落ちています。でもその奇跡に気づくには知識がいるし、「楽しもう」とする好奇心や探究心も必要なのです。

教養とは「ひとりで時間を潰せる技術のことである」の意味が分かった話

まずは自分の100点満点を、6点満点に下げましょう。

身の丈をわきまえながら、だけどその身の丈のレベルを日々勉強して上げていく。それが本当の幸せに繋がっていく。そんなことを教えてくれる漫画たちでした。