もう、単刀直入に見てください。僕がポエトリーの舞台に立つまでの軌跡

先日、TBSラジオ主催の「WORD WAVE」でポエトリーリーディングデビューしました。るってぃです。

もう単刀直入に。見てください。聴いて感じてください。この全てをさらけ出した痛々しい自分を。発信活動はじめてからの3年半の鬱憤と葛藤と想いを!ライブ後に出た言葉が、正真正銘の、いまの僕のリアルです(動画8:15〜)

ライブ前日の僕のツイートです。

僕は初めてポエトリーリーディングを聴いたときに感じた違和感が、4年後にこの舞台に繋がりました。本当に、自分の人生において忘れられない日になりました。

当日の会場は150人満席。それがすごいのかどうか分かりません。

正直いつもこの規模で講演会とかやってるし、ほとんど緊張することもなければ、事前にセリフを決めることもありません。

それなのに、あらかじめ詩を作り込んでただそれを読み上げるポエトリーには恐怖で震えました。まるで自分のセンスやネット上では読み取ることができない雰囲気やアドリブ力、パフォーマンス力、その全てをお客さん150人や、他の演者から審査のように計られるのではないか、と…。

「何を、1つ詩を読み上げるぐらいで…」と思うかもしれませんが、僕に取っては超一大事且つ、そこに至るまでの葛藤・苦悩がめちゃくちゃあって、その証拠にこの記事、8000文字も書いてしまいました。これが、僕の熱量の証です。

人生の転機となったライブ、感じたことを一字一句忘れたくなくて備忘録を書き上げました。ライブ映像見て興味持ってくれた方はぜひ読んでください。

ライブに出るまでの1ヶ月半、毎日が怖かった

出演が決まった日から本番までの1ヶ月半、毎日が恐怖でした。

辛くて仕方ないから早く終わって欲しい。「逃げようかな」って何度も思ったし、「なんでこんな辛いことやってんだろう?」って虚しくなったりもしました。それと対比するように日常は春に近づいていて、暖かく平和で、その光景にイライラしてました。

でも、やらなきゃ自分は変わらない。時間もない。もう、今の僕にしか書けないことを詩にするしかない。完全に自分の内側からリアルをひねり出さなければと。

とある詩人の方が言っていた

「同じ0℃を通過しても、雨になる水蒸気と、雪に変わる水蒸気がある。その違いは、水蒸気の中に昇華核があるかないか」

「昇華(花に昇りつめるために)、核(書く、歌う)」

という言葉も大きなヒントになりました。

ポエトリーデビュー戦、技術がない自分は詩に昇華核を持たせるしかないと。水蒸気が雨のまま落ちるのではなく、雪の華に昇華させて咲かせてやろうと。

正解のない世界で「これでいいのだろうか?」と、自問自答しながら詩を作り込み、本番2日前に詩と合わせる音源が決まり、普段行くことのないカラオケでマイク握ってがむしゃらに練習しました。

前日は深夜2時まで練習するつもりが、気づけば3時半。そこまでやらないと不安で寝れないと思ったから。帰りに「頑張るぞ」と買った普段この時間に絶対食べないどん兵衛、超美味かったです。

そして、本番の日を迎えました。

実はめちゃくちゃ嫌だった当日リハーサル

10時に起きます。もう起きた瞬間、緊張してる。ソワソワが止まらない!

早めにカラオケ行って練習しようと思ったら、今日締め切りの原稿が1つあったことを思い出しました。1時間で書き上げる。すると気持ちが落ち着きました。

その後こんなツイートした。そういうことでしょう。笑

シャワー浴びて、さっきまでいたカラオケ屋にまた行って2時間半練習。ポエトリーしてると気持ちがどんどん落ち着いてくる、不思議です。

やれるだけのことやったので緊張はなくなりました。あっという間に15時30分になり渋谷に向かう間も、本番使う音源をひたすら聞いてました。

会場の東京カルチャーカルチャーに到着。スタッフさん達と挨拶する。司会の猫道さんとお話しする。ソワソワを隠すために会場を色々見て回ってました。

GOMESSくんからリハーサルがはじまりました。トラックがかかった瞬間「あぁ〜良い」と思った。やっぱりトラックからして良い。と、同時に色々不安になってきました。笑

リハでは今夜披露する4曲の、1番の部分だけ歌ったり、途中で辞めたり始めたり。一番音量が大きい声と逆に小さい声を伝えたり、もう僕には全然分かんないけどPAさんと色んなことを調整してました。

次のリハは自分、持ち時間にして10分。不思議と緊張はしてなかった。人生においてリハーサルとかしたことないし、ここではじめて自分の音源入れたUSB渡すから、もうどうしていいのか分からなかったけど、とりあえず本番だと思って1曲丸々全力でやった。

気持ちよすぎた。

本当にびっくりしました。え、こんな気持ちいいの?思わず言っちゃったくらい。なんだこの感覚は、と。案外ポエトリー中も冷静で、このステージをどう立ち回ろうとか、朗読しながらも考える余地もありました。

でもその後、胎動LABELのikomaさんが「いとうせいこうさんが言ってたけど、リハで燃え尽きちゃうことあるから本番に残しておいた方がいいって笑」

と言われて、確かにその後めちゃくちゃ疲れました。いきなり重力2倍になった?ってくらい。腰も超重くなって。

 

ここで燃え尽きてたまるか!本番はこれを越す。そういえば今日まだ何も食べてなかったので、コンビニでおぎにりとチョコを買う。んでこれ。

その後、他の演者さんのリハ見て殴り書きしたメモのスクショ▼

勉強になることだらけでした。

そして会場がオープン。お客さんが入り出します。

出番まで残り30分。他の演者さんがどう本番までの時間を過ごすかを観察したり聞いたりしてました。

何事もないように過ごしてる人、ヘッドホンつけてイメトレ?してる人、誰と喋るわけでも音を聞くわけでもなく瞑想?してる人…この本番までの”過ごし方”の時点で、超勉強になるわけです。

ちなみに僕は、ヘッドホンつけて入りのMCから本番までの流れをギリギリまで確認してました。やっぱり、ポエトリーしてると不思議と緊張感がなくなって落ち着く。

そして気づきました。本番前の気持ちは、完全にダンスのバトル前の気持ちと一緒でした。

緊張もしてるんだけど、早く踊りたいという高揚感。もう嫌だー逃げたいーとも思うけど、ステージで踊ることの気持ち良さには何回やっても勝てない。

2日前に一緒に飲んでた友人の画家、宮森さんの「不安のワルツで踊れる人が一流ってある人が言ってた」という言葉と一緒。マジでダンスやってて良かったなって思いました。

がむしゃらに歌い上げた本番、ポエトリーデビュー戦

そして予定通り19時。司会の猫道さんが呼ぶ。

「プロ無職ぅぅぅ…るってぃーーーー!!!!」

リハとは違い、会場はたくさんのお客さんでびっしり埋まっていました。

今回ポエトリーイベントに初めて来たというお客さんも多いと思います。そして自分が一発目、みんながどんなテンションなのか分からないし、それを察する余裕など僕にあるはずがない。ただ、魂込めて作り上げた詩を全力で読み上げるだけ。

150人の前で、無我夢中で自分をさらけ出した。

ライブ中、まとってた嘘の皮が剥がれて、新しい自分に生まれ変わってくのを肌で感じて、気持ちよすぎました…。でも、リハと一緒で頭の中は割と冷静で「あ、しぶだ。(友人のミニマリスト)あいつやっぱ分かりやすい服着てんな〜なに内緒で来てんだよ。うわ、いま写真撮りやがった」

とか思いながらリーディングしてました。あとスマホ見ながらリーディングしてたんだけど、機内モードにしておくの忘れててLINE通知来たけど、全然冷静に対処できた。笑

あっという間に7分間のリーディングが終わりました。拍手が鳴り響く。そして、ライブ後に出た言葉、が僕のリアルです。

「超気持ちいいーーー!終わったーーーー!」って。ガチで心から出た言葉だった。笑

何言ったか忘れたけど頭を下げて、出た。楽屋に戻り、次に出るくじらさんやikomaさんと思わずハグしました。笑

「終わったんだ…!」

そこからが自分の中で不思議な感じで、開放感と達成感、でもこれもまた意識は冷静で胸は高鳴ってる感じ。いまアクトしてるAnti-Trenchの音と美しい言葉に包まれて、とても気持ちよかったです。

こうして1ヶ月半にも及ぶ試行錯誤と緊張と挑戦のポエトリーデビューは幕を閉じました。ライブ終わったあとに取った殴り書きしたメモのスクショです▼

ここからは、ライブに出て感じた、僕なりの気づきを共有します。

ステージに立たないと分からないことがある

ワールドカップを観ていて相変わらず「感動をありがとう」なんて言ってるやつはもうてんで駄目なんだよ。

ほんとうの感動は、やった奴しか分からない。

僕が一番好きなビートたけしの言葉です。

今回、初めて人前でポエトリーリーディングして色々感じたことはあるけどやっぱり1番はこれです。本当に感動した。気持ち良すぎた。声に出して全てをさらけ出すことが、こんなにも気持ちいいとは。

そして自分がステージでポエトリーする側として、この1ヶ月半で日常の中の見る世界が変わりました。27年間触れたことのない詩集を読み漁ったり、普段手に取らない雑誌や、聞かない音楽を聞いたり。とにかく生で見なきゃとポエトリーイベントに足を運んだり。

僕が普段言ってる「アウトプット前提でインプットしはじめると、日常の見える世界が変わる」というやつです。

自分がステージに立つ側に回ることで、音楽の聞き方やパフォーマンスの見方、言葉の読み取り方がこれまでと丸っきり変わった。そしてあるゆる物事の本質に対する洞察力が鋭くなる。

もしあなたがお笑い好きとして、1回でも舞台でお笑いやらないと、お笑いの持つ本質や奥深さは理解できない。そんな当たり前のことを、身をもって感じました。

今回イベントに出て「詩ってすげぇ。音楽ってすげぇ。言葉ってすげぇ。日本語って超すげぇ!!」って感じたし、本番前のリハとか、「あ、プロはこうやって調整してくんだ」というのを生で見れて超勉強になりました。しかもリハは、自分がステージに出るからこそ見れる特典。

だから「やる側」に回った方が得が多いと思う。もちろんやる側に回るのは勇気のいることだけど、もう人生って、何回「やる側に回れるか」で決まると思いました。上手い下手とか、成功とか失敗どかどうでもいい。ただ、やる。Just do it、挑戦。

終わった解放感もつかの間、もうすでに現実を突き詰められて次を見る

自分のオープニングアクトが終わったあと、落ち着きを取り戻すまで放心してましたが、こんな豪華ゲストが一同に集結する機会も滅多にないので今後のために1つでも吸収しようと観客席へ。

小林大悟さん、GOMESSくん、神門さん。すごすぎた。もう最後、普通に泣いた。

小林大吾さんの貫禄ある立ち振る舞いと、心地よいメロディと詩
GOMESSくんの内からひねり出される、誰にも真似できないパフォーマンス
神門さんの日常から作り上げられた情緒あふれるストーリーテリング

10年以上やってる人と、今日デビューした自分を比べるのもおかしいけど「これがプロか」と思った。マジでヤバいんです。ポエトリー知らなくて今日はじめて聞いた友人たちも口を揃えて「ヤバい」と言ってた。

おかげで、余韻に長く浸ることなく、すぐに次の未来に目を向けることができました。あぶねぇあぶねぇ、浸ってる場合じゃねぇ。うん、悔しい!ってかすごい!!表現ってすげぇ!なんで27年も生きててこれやってなかったんだろう。開いてる差は計り知れない。追いつけ、追い越せでやるしかない。比べすぎてもアレだから、俺は俺なりのスタイルで行くしかないけども

などと思いました。

このポエトリーシーンをどうする?魅力をどう伝える?

この日、初めてポエトリーリーディングして自分でも味わったことのない開放感とエネルギーを感じました。

確実に時代が”心に残る言葉”を求めている。

大量生産・大量消費によって多くのモノが溢れました。インターネットによって多くの情報が溢れました。現代人が1日に触れる情報量は、平安時代を生きた人の一生分と言われてます。しかし、脳の情報の処理速度はそこまで上がってません。

となると、いま世界中で起こってるのがミニマリズム、つまり減らす動き。こんまりさんのお片づけ術が世界中で大ヒットし、情報とモノを断捨離する動きが起こってる。さらには、できるだけ無駄を増やさず持続可能なサスティナブルな社会を作ろうとか、サーキュラーエコノミー(循環型社会)を作ろうみたいな動きがヨーロッパを中心に始まってます。

不必要なものは減らした、でも大きく満たされてないモノがある。それは心。圧倒的に現代人は心の栄養が足りてない。だから何でも揃ってるこの時代に、精神病んで倒れてまう人、幸福を感じられなくて自ら死を選ぶ人が後を絶ちません。

では、人の心を満たすものはなにか?

それは広く言うと感情を動かす技術、そのカテゴリーのひとつが”言葉”だ。

SNSの発展で誰もが声を発信できるようになった時代。でも逆に、悪意のある言葉や安い言葉が有象無象に流れるようになりました。みんな四方八方からの情報に動かされて疲弊してるのが分かります。

だから、深く心に残る言葉が求められている。その表現方法は俳句でも短歌でも落語でもなんでもいい。僕が興味を持ったのが詩、とりわけ音楽と文学を融合させたポエトリーリーディングだったわけです。

俺はまだ、入り口でいい。自分をキッカケに1人でも多くの人にポエトリーを知って欲しい

もうひとつ自分の中で発見がありました。

自分がポエトリーできたのは最高だったし、他の演者のアクトも最高だった。

そしてもうひとつ最高だったのが、僕の友人が見に来てくれて、その後ポエトリーの話で朝まで語ったこと。「あの人のここがヤバかった」とか「あの曲は感動した」とか、そういう話を自分が元いたシーンの人たちとできたのが嬉しかった。マジで最高すぎた。

宮森さんは以前からラップやポエトリーに馴染み深いけど、全くこの世界を知らなかったしぶとか、みさきちゃんが衝撃を受けていたのは見てて嬉しかった。みさきちゃんとか、家で流してた不可思議の「Pelicule」で爆泣きしてたし。笑

自分が好きなことの魅力が、それを全く知らない人に届き、理解される嬉しさといったらないです。

だから僕は、ポエトリーを知らない人にとっての入り口でいいんです。

僕がいきなり「ポエトリーやります!」とかSNSで発信したことで

「るってぃが新しくはじめたポエトリーリーディングってなんだ?」

って思ってくれた人も多くて、そこからYouTubeで検索して聴いた人や昨日のライブにまで足を運んでくれた人がいました。そして僕だけじゃなく他の演者のアクトを見て、衝撃を受けて、ポエトリーの魅力を知る。これでいいじゃないか!!

世の中には素敵な才能で溢れてる人がたくさんいます。それを知らないって、本当にもったいない話です。そんなのどれだけお金とか地位や名誉があったって豊かじゃない。僕たちは奇跡を起こすためじゃなくて、そこらへんの日常に落ちている奇跡に気づくために勉強する。知識や機会がないと、それに気づけない。

bboyでも子供のころから死ぬほど練習してて技術はすごいのに、食えない人めちゃくちゃいます。てか世の中そんな人だらけでしょう。だから僕は自分の発信力を使って、世界中の才能や奇跡を届けたい。まあ、入り口で止まるだけでなく自分が魅力を伝えるプレイヤーいたいけども。

とは言え、自分のライブやアップした映像がキッカケでポエトリーの世界を知ってくれた人や友人が少なからずいて、本当に嬉しかったです。

 

このコメントに、俺が泣いた。

痛々しい自分をどれだけさらけ出せるか

ライブを見に来てくれた宮森さんが飲んでる時に「めっちゃよかった!痛々しい感じが!痛すぎて途中耳塞ぎたいくらいだったもん!」って言ってて、この言葉がほんっっとに嬉しかったです。

自分の中のテーマが「どれだけ痛々しくさらけ出せるか」でした。

SNSを使えばいくらでも着飾ってカッコつけれる時代。自分もSNSの使い肩とかブランディング方法とかある程度熟知してるからやろうと思えばいくらでもできる。

けどあえて、150人の前で、全力で痛い自分をさらけ出してやった。あえて、万人に理解できない歌詞を入れた。でもそれは、万人に刺さるような分かりやすい言葉を発信して安易に人の心にアクセスしようとしたかつての自分へのアンチテーゼだと思います。

誰にも理解されなくても、自分が本当に、心から言いたいことを言うことが、こんなにも気持ちいいなんて…!

恥ずかしかったし、マイク持つ手震えたし、何言われるか怖かったけど、自分の挑戦を見て一歩踏み出す人が1人でもいたらいいな。

最後に…

ライブ終わってから興奮冷めなくて、早くこの文章書き上げたくて勝手に朝7時に覚めます。

シャワー浴びて、「今日なんか寒いな」なんて思いながら近所のカフェに向かって歩いてたら、急に”あられ”が降ってきました。「うお〜〜!マジかよ!」って。そうです。

「同じ0℃を通過しても、雨になる水蒸気と、雪に変わる水蒸気がある。その違いは、水蒸気の中に昇華核があるかないか」

「昇華(花に昇りつめるために)、核(書く、歌う)」

東京はあられ、東北ではこの時期なのにびっしり雪が降ったそうですね。

友人のFacebookの投稿▼

俺の詩には昇華核があったのかなぁ…(ロマン派)

こうして、辛かったけど夢物語のような1ヶ月半とライブが終わりました。でも、ここからがスタートなんだよなぁ。「今日はじまる、第二章」とかカッコつけて言ったもん。思い出してキモすぎる。

これから西荻でやってるポエトリーイベントに遊びに行ってきます。色んな場所でポエトリーしたいな。

挑戦、悪くないです(^ ^)

「何かやりたいな、でも怖いな」って思ってる人は踏み出してみて!マジでどうにかなるから!世界変わるから!