森ビルで開催されていた塩田千春さんの「魂がふるえる」展と、こちらの本を読んで感じたことのまとめ。
シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略 [ 洞田貫 晋一朗 ]
アート観賞からアート体験へ
「魂がふるえる」は130日間の来館者数は66万6271人で、森美術館歴代二位の展示となったようです。
※1位は「ハピネス:アートにみる幸福への鍵 モネ、若冲、そしてジェフ・クーンズへ」の73万985人で、チート級のアーティスト揃いなので、ソロでの展示でこの来館者数はバケモノです…。(もちろん数が全てではない)
これだけ広まったのは塩田さんの作品が素晴らしいのは当然として、森ビル側が撮影・投稿を許可して「インスタ映え」として広まったことも大きいと思ってます。
運営サイドがSNSで積極的にプロモーションしてましたし、来館者が写真をSNSにアップする導線もできてるなと。
この運営方法に関して美術業界では賛否両論あると思いますが、女子高生などの若い層にリーチできたのはすごいと思いますし、来館した66万6271人の中から初めてアートに興味を持った人や、アーティストを目指した人がいるのではないでしょうか。
金沢21世紀美術館やチームラボも大人気ですし、SNS時代は単なる視覚だけの「アート観賞」に留まらず、五感に訴えかける「アート体験」に昇華することの必然性を語ってる気がします。
アート思考より、先に経験
先日、ホワイトシップ株式会社というアート系の企業の代表さんとお話したのですが、「いま”アート思考”が重要とビジネス領域の人たちから語られてるけど、“アート体験”の方が大事」と語ってました。
考えるくらいなら描いちまえよと。それが一番思考を育むのには早いと。
五感で掴んだものは記憶に残りやすいでよね。旅する理由もそうです。
だからと言って、SNS映えを意識した作品を前提から作るのは表現者としての心を失いそうで、その辺のバランスが非常に難しい。
塩田さんの「魂がふるえる」に関してはキュレーターが設計したことだと思いますが、設計は任せてアーティスト側は作りたいものに集中する、というやり方もアリだな〜と思った次第です。
SNS時代、そしてここれから訪れる5GによるVR/AR時代におけるアートはどのような変換を辿っていくのでしょうか。