-華金-
それは平日に戦うサラリーマンだけに訪れる甘い一時の夜
月曜日からはじまる仕事から解放され、多くのサラリーマンの持つ苦悩・披露をひとときの間忘れさせる魔力を持つ「華金」に、当時学生だった自分は興味をそそられた。
社会人になった先輩たちはみな金曜日を狂ったほど楽しんでいたからだ。しかしまだこの時は、「華金」の持つ開放感や狂気的楽しさを、当然ながら理解していなかった。
大学を卒業し、某メーカーに新卒で入社した。平日出勤の休日は土日。そう、華金を味わうことができるサラリーマンとなった。初めての華金デビューは忘れることができない。入社日の4月1日は水曜日だった。
最初の2日間は社会人としての礼儀を叩き込まれる「ビジネスマナー研修」に繰り出され、朝から晩まで缶詰で厳しい研修を受けた。そしてついに研修から解放され、人生初華金デビューが実現した。
同期と品川の居酒屋に流れ込み、乾杯のビール。明日から始まる束の間の2日間の休日。今でもこの光景を鮮明に思い出せる。この後、見事にその華金の罠にハマってくことも知らずに。
いつしか華金を楽しむために働いている自分
それからというものの「生活をしていくため」、「人として成長するため」というよりも華金を楽しむためにサラリーマンをしてるようなものだった。
金曜に仕事が終われば、友人と渋谷で合流し、腹八分目という居酒屋でジャンボ唐揚げとビールで乾杯しつつ今週の振り返りし、いい感じに酔ってきたらHUBやクラブで適当な女を引っ掛け、朝まで飲む。
ここまでは定石。
しかし、土曜日はあえて早起きをする。土曜の朝に都内の公園を散歩するのが最高に気持ちいいからだ。
土晩は三軒茶屋のバーで、これまた大学の同級生とがちゃがちゃ遊ぶ。交友関係が金曜日を挟むごとに増えていく。
日曜日は14時ごろまで爆睡し、適当に部屋を掃除しながら、明日からの戦いに備える。こんな休日の過ごし方が、当時はものすごく楽しかった。
学生時代とは違い金もあるし、働いた分の充実感・開放感もある。いま思うと完全に「華金」の罠にハマってしまっていた。
このままじゃ何も変わらないと悟った
仕事から解放された華金は最高に楽しかったが、それだけだった。
仕事は別に率先して行きたいほど楽しいものではないし、正直社内の人間関係も良くない。華金の楽しさとは裏腹に平日は地獄だった。華金を楽しんでも何か自分の能力が増えて行くわけでもない。
悪友が増え、楽しい思い出ができ、その代償としてお金と時間を失っていく。
だんだんと会社に行くことに疑問を感じ、「本当にこんな人生でいいのか?」と思い始めた。しかしそれをことごとく邪魔してくるのが「華金」だった。笑
どうしても華金の恵比寿横丁や渋谷センター街のHUBに行きたくなる。毎週金曜、仕事終わりに入る友人からの誘いに、ダメだと思いつつも断れなかった。
「華金、こいつは確実に麻薬だ」
当時の自分はそう思った。
なんやこの話
結果として、新卒で入社した会社は10ヶ月で退社。今はフリーランスとして様々な活動を通して、僕個人にスポンサーがついてその資金で活動してる。
今の自分の生活はとても充実していて、それぞれ向き・不向きはあるだろうけど、自分はこの働き方が向いてるらしい。
組織や時間には縛られなくはなったが、今でも「サラリーマン時代の華金」のあの楽しさは正直恋しくなる。
たまに金曜日に、友人とよく遊んでいた三軒茶屋で飲んだりするが、サラリーマンをしていた時ほどの「狂気的楽しさ」や「スリル」はなくなった。
それは良いことではあるが、なんだか切なく、恋しくなる時もある。今のライフスタイルの方が150倍良いのは事実だが。
ほんとなんだこの話は。
もし、このブログを読んでる人に現在進行形で同じような感覚を味わっている人がいれば即行動を起こすことだけはオススメする。