SNSを使って「具体→抽象→転用→フィードバック→再考」のサイクルを回すアウトプットが“アウトプット2.0”だとしたら、それらに加え、言語化できない抽象思考を取り入れた”アウトプット3.0”を探求すべく、3週間ヨーロッパで修行してきました。

友人宅で絵を描いたり美術館を回ったり、向こうのアーティストと喋ったりと、多くの経験を得ることができたと思います。

その中でも興味深かった、パリとベルリンで3回ポエトリーリーディング(詩の朗読)をした話をします。ちなみにどちらも本場で、フランス語ってもはや日常会話が詩っぽいし、僕も行くまで知らなかったんですけどドイツはポエトリーのプロ(それだけで食える人)がいるほどシーンが熱いの

というわけで友人に情報をもらい、オープンマイク(誰でも参加できるやつ)に飛び入りしてきました。

会場に日本語を理解できる人が1人もいないどころか、アジア人がそもそもいません。自分の詩を英語翻訳する時間がなかったので、不安を感じながらも、思い入れのある詩を全力でリーディングしました。しかも音源なしの、ガチの日本語での朗読一本勝負です。そしたら、めちゃくちゃウケたんですよね。

朗読中にもたくさんリアクションがあって、終わった後には「私には何を言ってるか分かったよ!」と言ってくれる人もいました。「ほんとかよ」と思いつつも、初めての海外でのポエトリー体験で大きな自信がつきました。

リーディング直後の興奮冷めやまないワイ↓

2回目のポエトリー→ゲロスベる

ここでなぜウケたのかを自己分析した結果、「日本語の持つ音の美しさやリズムが良かったから」と仮説を立てました。そして2回目のポエトリーでは、詩の内容よりもリズムを重視して攻めることにしました。どうせ日本語で読むし内容分からないなら、音で沸かそうと。どらかと言うとラップに近い感じです。

そしたら、死ぬほどスベりました。「あれ?」みたいな。苦笑いと乾いた拍手がトラウマになるレベルで、天狗になりかかってた鼻を見事にへし折ってくれました。

3回目のポエトリー→しっかりウケた

このスベった原因を自己分析した結果、1度目読んだ詩は文字を読むだけで頭に情景がイメージできるほど思い入れがあったので、「もしやそのイメージや想いが伝わったのでは?」と考えました。2回目のスベった詩はリズムネタに走った結果、情景をイメージせず「ただ読んでしまった」ような気がします。また、「会場を沸かそう」という下心もつい出ていたかもしれません。

そして帰国前日の3度目のポエトリー。1度目やったときとは別の、大好きな詩を、心を込めてリーディングしました。頭の中で鮮明にイメージを描いて、緊張しつつも落ち着いてゆっくり丁寧に読み上げました。そしたら、しっかり湧きました。

「ああ、やっぱりそういうことなんだな」と腑に落ちた瞬間でした。

全身で掴んだ言葉は、言葉の壁を越える

自分が頭にイメージした情景や心の想いが伝染する。これぞまさに仏道の世界で言うところの「以心伝心」「教外別伝」「不立文字」でしょう。

「こういう言葉を発すればみんなに共感される」とか「この書き出しをすれば目に留まる」といったテクニックだけでなく、全身、つまり五感で掴んだ言葉が大切になってくるのではないでしょうか。これはポエトリーに限らず、発信活動すべてにおいて言えるでしょう。

「言葉すら誰かが作ったルールであって、自分の考えたことを100%言語化することはできない」

普段生活してる中でつい忘れがちですが、最近意識してることです。そもそも言葉がなければ考えることもできないんですよね。考えることができなかったら認識できない、つまり存在しないのと同じです。

そして日本語の文章を英語訳すると微妙にニュアンスが違ったりして100%再現できません。1度目ウケた詩も「英訳して送って欲しい」と向こうの詩人に言われたので、アメリカ人の友人に英訳してもったのですが、「英語だと”これじゃない感”」がすごかったです。ストレートな英語じゃ、日本語の持つ”エモさ”や”儚さ”を表現しきれません。

その絶妙に翻訳しきれない言葉の差が、”文化の溝”です。つまり、言葉だけに頼ろうとすると溝は埋められません。

本当に伝えたいことは言葉によって表現しうるものではなく、心から心へと直接伝達されなければいけません。そして、言葉で埋められない心情や文化の溝を埋めるのがアウトプット3.0になるのでは、と思ってます。僕が今やってるところで言う、ポエトリー、絵画、ダンス、つまりアートですよね。

だから先人たちは「もう言葉に興味ない」と言っているのでしょう。

自分が全身で掴んだ経験を、言葉の壁を超えて、多くの人の全身に届ける。論理的なアウトプットの次は、その領域です。

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この記事をかいた人

るってぃ

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